【レポート】無錫市棒球協会を視察しました(中国野球の現状について)

レポート, 海外野球サポート事業

株式会社R.E WORKSと提携会社である株式会社 J.T. STRENGTH & CONDITIONING では2019年9月17日(火)~19日(木)にかけて、野球発展に向けたサポート契約を締結している中国江蘇省・無錫市棒球協会への現状視察と情報交換を行ってきました。

大きな可能性を持つ中国野球の変化やさらなる発展に向けての課題、日本の野球としてサポートできることはなにか?など、視察や情報交換を通じてアップデートしました。以下レポートをご参照ください。

【CNBL(China National Baseball League の略)の発足】

中国の野球プロリーグは2019シーズンより新しいリーグ名称を冠してスタート。
最初のシーズンは北京タイガース・天津ライオンズ・江蘇ヒュージホース・広東レオパーズの4チームで覇を競っています。

シーズンは8月15日から10月27日まで、36試合(1チームあたり18試合)のリーグ戦とリーグ1位と2位による優勝決定戦(5試合制)で構成されています。

【CNBLがこれまでと違うポイント】

リーグに参加している4球団は、現在でも各体育局(≒政府)のバックアップのもと運営されていますが、これまでと大きく異なる点として球団運営会社が設立されていることが挙げられます。
これにより、球団の自助努力により地元の民間会社など新たなバックアップを得られる可能性が出てきました。
これまでは競技メインで、ビジネスやマーケティング要素は不足していた感のある中国プロ野球でしたが、MLBとも戦略的提携を結び、日本や韓国・豪州などアジア各国とも連携を目指すなど動きが見られるようになってきました。

(参考)CNBLが発足、MLBと戦略的提携

【江蘇ヒュージホース(Huge Horse)】

近年まで「江蘇ペガサス」という名称でしたが改称。
江蘇省無錫市内の「棒球運動訓練基地」内にある球場を本拠地としており、1軍~3軍まで約100名の選手が所属しています。
1軍(35名)と2軍(30名)は訓練基地施設内で寮生活を行い、2軍は主に16歳~18歳の選手たちで構成されています。
1軍には中国代表選手も複数名在籍しており、体格では日本や韓国、台湾といったアジア3強に引けを取りません。
ちなみに3軍(30〜40名)は近隣の学校施設内で活動しており、高校に通いながら野球に勤しんでいます。

「棒球運動訓練基地」内には球場2面に室内練習場、トレーニングルーム、そして選手が生活する寮などが完備。
1軍と2軍合計約65名の選手に監督・コーチ・チームスタッフが寮で生活しています。

過去には千葉ロッテマリーンズと提携しており、マリーンズから指導者が派遣されていた時期もありました。

【チーム責任者との情報交換】

今回、江蘇ヒュージホースのチーム責任者である馬振新氏と情報交換を行いました。

ミーティングの中では、2軍選手(16歳~18歳)の育成、特に基本技術の習得に課題を感じているようで、そのトレーニングに日本の野球指導や考え方を導入したい意向を持っていました。

2軍選手のウォーミングアップや試合を視察したJ.T. STRENGTH& CONDITIONING 代表・高橋純一氏は「多くの選手が股関節など体の重要な部分が硬く、基礎技術習得の前提となる基本動作ができていない。従って、ウォーミングアップやトレーニングに関する個々の意識、チームとしてのメニューなどから改める必要がある」と提言しました。

そのための方法として、日本人指導者やトレーナーの派遣やチームの日本遠征などの可能性について議論を交わしました。

また、中国棒球協会の副秘書長も兼務する馬氏からは、ビジネス面での強化も目標に掲げていること、
CNBLとして3年以内に10チーム程度へのエクスパンションも目指していること、
CNBLのインターネット配信では1試合で70万人ほどの視聴者数を記録することもあるなどの将来可能性について言及がありました。

【選手たちのキャリアビジョン】

4年に1度開催される「人民体育大会」での優勝が選手たちにとってのもっとも大きなモチベーションです。
大会に優勝すると、大きな報酬と場合によっては「公務員」という大きな立場を得ることができます。
一方で、中国棒球協会と提携しているMLBが中国国内の複数箇所でMLBアカデミーを運営していますが、中国国内の高校卒業後にアメリカのマイナーリーグでプレーする選手も近年では出現しています。
無錫にあるMLBアカデミーでも、10年間で6名のマイナーリーガーを輩出しています。
日本や韓国、台湾などでプレーする中国人選手は現在ほとんどいませんが、今後は海外に挑戦する選手は増えていくものと考えられます。

【中国野球の可能性】

小学生年代においては、子供の教育として野球をプレーさせる家庭が増加しているという話を聞きました。
その中から有望な選手が16歳で江蘇へ入団してきます。
我々は、日本の高校野球年代にあたる中国プロ野球の2軍世代におけるトレーニングが、中国野球発展の上で非常に大きなポイントだと感じました。
無錫においては、「棒球運動訓練基地」の設備は申し分のない状態ですので、指導者や指導方法などのソフトの部分、高いレベルや緊張感での試合や練習などの経験、この辺りを日本と繋ぐことで一つ上のステージに上がれると考えます。

可能性のある選手のうち1人でも海外で活躍するようなことになれば、中国における野球のプレゼンスは全く違うものとなりうると考えます。
日本野球との橋渡しを行いながら、中国野球のさらなる発展に向けてサポートを行ってまいります。

【以下、写真掲載】

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棒球運動訓練基地のメイン球場。

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訓練基地の入口。無錫市体育局(政府)に加え、事業会社としての球団の表札も。

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6階建ての寮に約80名の選手・スタッフが入居している。

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寮の食堂。栄養に気を使ったメニューがでる。

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トレーニングルーム。週に3回ほど筋力トレーニングを行なっているとのこと。

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メディカルルーム。トレーナーが常駐している。窒素冷却装置など最先端で高価な設備などもある。

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室内練習場。打撃も2箇所で可能。

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今季から発足したCNBL。中国野球発展の鍵を握っている。

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運動訓練基地全体地図。球場はメインとサブの2つ。

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球場内のロッカー。

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視察期間中は国内の他地域や台湾の社会人チームなどを招待した交流戦が行われていた。
江蘇球団は2軍が出場。

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16歳〜18歳で構成される2軍選手たち。報酬をもらいながらプレーをしている。

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無錫市内に3箇所あるというMLBアカデミー。視察したアカデミーからは10年間で6名がアメリカマイナーリーグでプレーした。

※上記レポートはできる限り情報を精査して掲載していますが、正確性については保証いたし兼ねますのでご了承ください。